マーケティング上手になった? KDDI

電光石火のように KDDI が Push-to-talk 対応機の発表を開催しましたね。
KDDIも「トランシーバー携帯」3機種を発売――1セグ放送対応端末も投入
という記事タイトルはKDDIの意向に沿わないものかもしれませんので
au、「Hello Messenger」対応の新モデル3機種
特集と久々のIT Media 斎藤さんの記事
「PTTと言われるのが一番イヤ」──au、Hello Messenger
をおすすめします。

しかし、ここにも
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PTTよりもPCのインスタントメッセンジャーに近いHello Messengerだけに、他プラットフォームとの接続性は気になるところだ。PCのMSM Messengerや、Yahoo!メッセンジャー、AOLインスタント・メッセンジャーとの接続の可能性はどうか。また、音声のPTT部分についてドコモのプッシュトークとの相互接続の可能性はあるのだろうか。
 「次のステップはPC用のメッセンジャーとの接続だ」と重野氏。文字系コミュニケーションをメインとしたことで、PC向けサービスとの親和性も増した。ゲートウェイを設ければ接続に技術的な課題は少ない。ただし現時点でHello Messengerにプレゼンス機能が用意されていないのは、相互接続時に問題になるかもしれない。
 ドコモなど他社のPTTサービスとの接続には、「将来はつないでいったら楽しいとは思っている。(PTTの)音声部分は標準規格に従っている。SIPベースだ」と重野氏。根本的な技術面では接続は可能だが、各社の独自拡張の面で相互接続性に課題は残る。現状では、相互接続の話し合いなどは持っていないという。
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と書かれているように、コミュニティ系のコミュニケーション・ツールを目指すのであれば、頻繁に買い換えるケータイ端末にとどまらないつなぎを提供しなければね・・・そこまで出来て「FMCをリードするKDDI」というマーケティングが出来るでしょうに。

さて、昨日取り上げた映像関連の日経コミュニケーションは連載予定を変更した方がいいでしょうね。
●(2) 総務省地上デジタル放送のIP再送信の真意(10月25日公開予定)
はもう公開されてしまったのですが、
次の
●(3) ユーザー不在の融合が進む「ワンセグ」(10月26日公開予定)
は、このau の1セグ対応端末発表や
TBS、地デジ番組でネット通販 Amazon、電通と
という流れを見ると、「地デジを見ながらメールはできない」という部分は雑誌に書いたままをオンライン化すると微妙〜でしょう。
また、
●(5) ユーザーにとって最も魅力的な「融合」の形は?(10月28日公開予定)
という部分にしても、テレビの再放送を直ぐに見たいのが見逃したユーザの希望なのに今朝の日経新聞のオンラインには
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マンションのサーバーでTV録画、著作隣接権侵害を認定
 マンション内のサーバーに1週間分のテレビ番組を録画し、住民に提供するサービスをめぐり、在阪の民放5社が「著作権などを侵害し違法」として、開発・販売会社の「クロムサイズ」(東京)に機器の販売差し止めなどを求めた訴訟の判決で、大阪地裁の山田知司裁判長は24日、権利侵害を認め、販売禁止を命じた。
 判決は、同社が直接番組の複製をしている訳ではないものの「商品を販売すれば必然的に権利侵害が生じ、複製行為と同視できる」などと判示。放送局が持つ複製や送信可能化を認める権利「著作隣接権」を侵害していると認定した。
 共用サーバーへの録画が著作権法で複製を認められた「私的使用」の範囲内かどうかも争点だったが、機器の設置者(マンション管理組合など)と使用者(住人)が異なることなどを理由に、「私的使用とはいえない」とした。
 判決によると、問題となった機器はマンション内の共用部分に置いたサーバーに、全局の番組を1週間分録画。住人はLAN回線を通じて配信を受け、好きな時間に自宅のテレビで視聴できる。
[2005年10月24日]
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という判決が掲載されていましたからね。やれやれ。地裁の判決に不服があれば最高裁判所の判決を待つこともできるのですが、ここでの「権利侵害」という解釈がはっきりしない限りは
【集中連載 通信と放送の融合】(2)
地上デジタル放送のIP再送信,総務省の真意は?

に書かれているように
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しかし事の経緯がどうであれ「著作権法上で『放送』に該当しない」という解釈は,コンテンツを握る権利者側に二の足を踏ませ,結果的に役務利用放送事業者に対してコンテンツを出し渋る最大の理由となっているのだ。
 権利者側からすると,著作権法上で「放送」と規定されるか「自動公衆送信」になるかという問題は,権利ビジネスの根幹に関わるだけに譲れない部分なのだ。特に「著作隣接権」の扱いが大きく変わる。「放送」と定義されると,これまで整備されてきた権利処理のルール(報酬請求権)に準じて権利者に二次使用料が支払われるにとどまるのだが,「自動公衆送信」になるとより戦略的な権利ビジネスを展開することができる。著作隣接権者にも著作権者と同様の「許諾権」が付与されることになるからだ。
つまり,著作隣接権者からすると,「自動公衆送信」の方が多くの権利料を獲得できる可能性が高いわけだ。一方の役務利用放送事業者側は,当然のことながら「放送」と解釈されることを望んでいる。そうなることで,有線放送などと同等の扱いになり,権利処理の手順がはるかに楽になるからだ。
 両者の溝の根底には,著作権法上の解釈だけではなく,ネットやその上でビジネスを行なう者に対する,権利者側の根強い不信感もあるのではないか。
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という平行線が続いたままであれば、日本での「放送とネットの融合」は「絵に描いた餅」のままになるのか、それとも、長い間、iTunes Music Store を待ち望んでいた日本市場がもう一度繰り返す苦い待ち時間になるのか・・・

さーて、ケータイで年間二兆円も稼ぐKDDIさん。メタルプラスの不振を取り返すためにもこのあたりは関係官庁にうまくネゴして面白いサービスにしませんか?