米国のMVNOに学ぶ?

Mobile Virtual Network Operator (仮想移動体通信事業者) は、マルチメディア/インターネット事典などに定義されているように「免許を受けた無線通信事業者(キャリア)の設備を借り、独自のデータ通信サービスなどを付加して通信事業を展開する事業」なのだが、その細かなことは総務省のページにも掲載されている。
※最近の私のblogは総務省関連の話題が多いけれど、決してその手の関係者ではありません (-_-;;

ケータイ業界への新規参入をめぐっていくつかの企業が手をあげているけれど、どうして MVNO という形ではないのでしょうかね。素朴な疑問。日本での MVNO というと DDI Pocket (2月1日からは WILLCOM)を利用した日本通信くらいですからね。
※そのDDI Pocket を売りに出した KDDI音声非対応のCF型1X WINカード「W03H」DDI Pocket潰しに見えるのは私だけかな・・・

さて、米国で新しいMVNOが誕生するというニュースが出ました。EarthLinkと韓国のSK Telecom、米で携帯サービスの合弁会社SK-EarthLinkを設立というもの。正式な契約は3月なので、詳細はこれからなのでしょうが。この話の興味をそそるところは、EarthLinkは米インターネットサービスプロバイダーISP)で、SK Telecomは韓国の大手携帯電話キャリアで、その両社が米国で携帯サービスとアプリケーション販売の合弁会社を設立するということ。EarthLinkの米国での加入者層や販売網および既存キャリアとの関係と、SK Telecomの3Gなどの技術力を活用し、2009年までに加入者約300万人、売上高約20億ドルを見込むという目標ですが、EarthLinkは加入者約500万人を擁し、MVNO事業にも進出済みだし、SK Telecomは韓国で携帯サービス市場の50%強を制し、加入者は約1800万人を擁しているのでかなり勝算有りなのでしょうか。SK-EarthLinkでは3Gネットワークと拡大しつつあるWi-Fiを活用し、携帯電話体験を新しいレベルに引き上げると説明している。3Gというか、ケータイで先端を行く韓国の SK Telecom。背中には韓国政府の外貨獲得の文字が躍っていそうですし、WiFiで走っている米国は、そのビジネスモデルがいまいち確立できていないから、3Gとの組み合わせでうまく行くかどうかという勝負でしょう。
これがうまくいけば、日本のケータイ事業者もこれから3年が見えてくるのでしょうか。

しかし、米国の通信業界は厳しいですね。 SBCがAT&Tの買収交渉というニュースが流れました。米通信2位のSBCはテキサス州サンアントニオに本社を置く地域電話会社。カリフォルニア、テキサス、イリノイなど13州で5400万回線強のサービスを提供している。また、携帯電話キャリアCingular Wireless(加入者4600万)の60%を保有する企業でもある。AT&Tは業界三位。
昨年AT&T Wireless を切り離したのですが、どうも不振らしい。

連邦通信委員会 (FCC) のマイケル・パウエル氏が3月に退任することが発表されたのも今週。このパウエル氏は、米国で「地域通信会社は市内回線を長距離通信会社に低額で開放する義務」を撤廃した人間として有名。NTTの光ファイバ開放義務撤廃の主張とその主張に噛み付く孫さんを思い出してください。その議論の元になることなのですが、この撤廃までは政策の方向性が一年半も定まらなかったために米国の通信業者は多大な被害をこうむったという意見もありますね。AT&Tは市内回線を低額で利用できなかったので大幅な事業縮小を迫られているという。もしこれでAT&TがSBCに買収されるとしたら、元凶は? という話になりますね。

でも噂が出てもはっきり決まるまではわからないのがアメリカ。また決まってしまえばドンドン話が進むし、その結果もかなり早く見えるのもアメリカ。「2000億じゃツーカーは売らない」なんて話をしている国とは違います。
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