eAccessは何故AOLを買収したか?

AOLジャパンは、1997年3月25日に日本でのサービスを開始。
2000年9月27日にはNTTドコモが42.3%の株式を取得し筆頭株主になった。
2001年1月、NTT系統の社長を迎え、2月から「ドコモAOL」に社名を変更し、iモードなどのモバイルと固定網の融合を目指していた。しかし、その年末にはその社長も辞任。元ニフティの社長を迎えて巻き返しを図ったがあまり効果があがらず、2003年12月17日には、ドコモAOLの株主であるNTTドコモなどの4社が、米AOLに株式をすべて売却。社名は「AOLジャパン」に戻された。その時点で社長も交代。
さて、そのAOLの今度の売り先は「イー・アクセス」。40万人の会員と200人の社員が21億円で売られることになりました。さて、この金額は妥当か? 一般的にナローバンドのISP会員であれば5000円くらいが相当だと見る向きもあるのですが、昨今はブロードバンド・ブーム。Yahoo!BBの赤字の原因は一人37,000円くらい (孫社長はこれが今は30,000円になりつつあるような発言もしていますが) の会員獲得費。駅頭および量販店頭での「無料」キャンペーンはお金がかかるのです。そのお金をかけずに40万人が入ると考えれば安いかも。(単純計算であれば、5,250円) しかし、全部が全部、ナローバンド会員ではないし、という見方もありましょう。実際、AOLのブロードバンドは、eAccessだけではなく、NTTフレッツ・サービスも提供されていますからね。
eAccessへの身売りの話は、昨年12月のドコモ株撤収直後から始まったというのだから、それほどブロードバンド化がうまく行っていなかったのでしょうかね。実際、ブロードバンド化の遅れで会員数が伸び悩んでいた、とする記事も出ています。
さて、一般的なISPでのブロードバンド率はどんなものかと見てみると、最大手ocnでは48% (2004年3月末)。そりゃ、NTT Comと東西NTTという分割はあるにせよ、わかりやすい図かもしれませんよね。
そういう系統ではないSo-netでは、会員230万人中、55万人 (23.9%) がブロードバンド。でも1年前までは、ほぼ同数の会員数でブロードバンド会員が42万人。
AOLのようなBBSから始まったISPBiglobeは、2004年3月末の接続会員 419 万人のうち、ブロードバンド接続会員は85万人 (20.2%)。
先週発表された別の「パソコンでのインターネット」調査結果では、自宅でインターネットを利用するユーザーの60.8%がブロードバンドで接続しているという。 調査対象がiモード・ユーザということなので、ちょっとだけ偏りも感じないわけではないが、それでも自宅でのインターネットの利用環境はADSLが43.8%、CATVが10.5%、光ファイバが6.5%で、ADSL利用率が圧倒的に高い。ナローバンド環境ではアナログ回線が15.7%、ISDNが9.1%、フレッツ・ISDNが4.6%、携帯電話・PHSが6.4%。
総務省が発表した3月末での回線環境では、ダイアルアップは18,973,850人、ADSlは11,196,830人、CATVが2,578,000人、FTTHが1,142,335人。まだまだダイアルアップの割合が多いはず。
まあ、主な回線とは別に、移動中にダイアルアップを使うユーザも少なくないため、ダブルカウントがどこまでか、というところでしょうかね。
話があちこちに行ってしまいましたが、eAccessが買収した40万人のうち、20%の8万人が簡単にeAccessユーザになると考えれば、一人当たりの獲得費用は26,000円くらい。ユーザ獲得に30,000円かけても600万人になれば (2004年4月末で407.6万) ビジネスとして安泰! という孫さんの考え方と同様なのでしょうか? 
「AOL買収によって、コンテンツの豊富なTime Warnerとの関係も密接になる」とeAccess千本社長はおっしゃいますが、AOLとTimeWarnerの米国での冷たい関係をご存知ないわけではあるまいに・・・ 
あら、どんどんわからなくなっていく。。。