インスタントのメッシュ・ネットワーク?

先日、ちょっと気になる無線LANの動きとして、メッシュネットワーク(Mesh Network)を考える気になったので、調べてみました。
これは、「光ファイバ網のような巨大なバックボーンをくまなく走り回らせる」のではなく、「無線LANなどの技術を駆使して、メッシュ(網の目)状にネットワークを拡大していこう」というもので、米国の田舎のように町同士の間隔が離れていて、距離の関係からADSLのような技術も使えないところに、長距離無線LANによるブロードバンド環境を持ち込もうという試みからスタートしているらしい。
光ファイバを引き回すには採算が取れず、ダイヤルアップに頼らざるを得ないような地域にブロードバンドを実現するというのが本来の目的だったという。確かに先日も書いたようにブロードバンド化が進む米国でもダイアルアップは多いのに、他方、電子投票などインターネットの公共化は日本より進んでいるのだから、公共的にも考えなければならないという部分なのでしょうね。
(おーい、日本の総務省もe-Japanもこんな風な意識はありますか〜!)
ということで、無線LANで公共のホットスポット的な動きはあるのか、と調べてみたら、ヒットしたのは以下の事例
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サンノゼから車で20分ぐらいの場所にあるロスガトスという街で、シリコンバレーで初めて公共のホットゾーンが設けられているという。オペラハウスを中心にタウンハウスと呼ばれるダウンタウンの中心部で、無料でインターネットにアクセスできる。
ホットゾーンの構築には、Firetideのメッシュ・ネットワーク(Mesh Network)が用いられている。
ロスガトスのオペラハウスでは、以前から企業イベント用に無線LANの提供を検討していたそうだ。だが、築99年の旧い建物で、太い鉄骨と鉄板をレンガで固めた牽牛な造りが配線工事をきわめて困難なものにしていた。また、街の歴史的な建造物でもあるため、外観や内装を変えられないという事情もあった。そのため、従来の無線LANのソリューションでは、コストが高くなりすぎて手が出せなかったという。
そこに、Firetideがメッシュ・ネットワークによるソリューションを持ちかけてきた。無線アクセスポイント「HotPoint Wireless Mesh Router 1000S」をいくつか配置し、コンセントにプラグを差し込むだけ。30分もかからずに、オペラハウス全体をカバーする無線ネットワークを構築して見せた。HotPointは、一般的なアクセスポイントと同じぐらいのサイズで、額縁やゴミ箱を使って容易に隠すことができる。
その後、Firetideのメッシュネットワークは商工会のメンバーの間を口コミで広がり、ロスガトス・ホテルなど採用者が増加。そしてオペラハウスが点在するメッシュネットワークを結ぶためのアクセスポイントを街に寄付したことでホットゾーンが誕生した。
面白いと思うのは、そのスピードと手軽さである。口コミでメッシュ・ネットワーク採用の輪が広がり、ホットゾーンが完成するまで3カ月程度。さらに低コストというメリットがあるからこそ、トントン拍子で物事が進んだ。
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日本でメッシュ・ネットワークの話題は、IntelCiscoの動きだとか、伊藤忠が自動車で無線LANつなぎのような話題が多いが、本当は日本でも公共もしくは公共にとっても近いNTTのような通信業者がこんな事例をよく研究してくれるのがいいような気がします。全国チェーンのコンビニ、郵便局、宅急便の営業所、いろいろ応用の仕方もありますよね。もちろん、認証とか課金とか課題はあるにせよ、つながることが第一歩でしょうから。