Googleはあんなに黒字なのに何故IPOするのか?

http://searchenginewatch.com/という検索エンジンマーケティング・サイトが2月に発表した第4回Search Engine Watch賞 (2003年) は以下の通り。
ベスト検索サービス賞
優勝:Google
次点: AllTheWeb、Yahoo
佳作:Ask Jeeves
ベストメタ検索エンジン
優勝:Dogpile
次点: Vivisimo
佳作:Mamma
ベストニュース検索エンジン
優勝:Google News
次点:Yahoo News
佳作:AltaVista News、Daypop
となっている。さて、最近、バージョンアップしたとかで使いづらくなった google.co.jp ですが、その本体は4月末、IPO (株式公開) をしました。いや、せざるを得なかったのでした、と言った方が正しいのかもしれない。
何故かといえば、米国にはSEC (米証券取引委員会) という厳しい機関があって、株式公開をしていなくても、1934年に制定された米証券取引法のXIII(g)項に基づいて、株主(あるいはストップオプション保有者)が500人を超え、資産が1000万ドルを超えたら財務情報を開示しなければならない、と決まっているからである。 Googleは従業員は1000人以上、年間利益は推定で数千万ドルなので当てはまり、そうしたSECの基準を超えた未公開企業は、会計年度の終わりから4カ月以内、Googleの場合は4月に公開せざるを得ないことになった。
同じように企業情報を公開しなければならなければIPOして資金調達をしたろ! と考えるのが道理で、Google も27億ドルの資金調達を狙って4月29日に、異例のオークション形式で実施すると発表した。
このSEC書類というものは、英語で読むから余計に頭が痛くなるものなのだけど、日本の例えば東証Mothersの四半期毎の書類なんて、なんてアラアラ、と思わせる位に細かい。売上などはもちろん、人数、主な役員の年収もわかる。例えば、技術担当プレジデントBrinの報酬は標準給与15万ドルとボーナス20万6000ドル、商品担当プレジデントPageの報酬はBrinと同額。グローバル販売担当のシニアバイスプレジデントOmid Kordenstaniは標準給与が17万5000ドルでボーナスは40万ドルに近い。エンジニアリング担当バイスプレジデントWayne Rosingは標準給与が17万5000ドルでボーナスは15万ドルだという。CEOのEric Schmidtの標準給与は25万ドルでボーナスは30万ドル。さらに普通株1430万株を1株30セントで購入する権利と、優先株42万6000株を1株2ドル34セントで購入する権利を有するという。日本では個別の役員報酬を出す会社はないはず。
また、今までの業績の秘密 (R&D状況) とか、今後の戦略、誰を競合として、どう戦っていくか、というストーリーもSEC書類には書かれる。企業情報丸裸という状況なのです。
じゃあ、そこまでベールを脱ぐんだから、とGoogleはちょっと強気な声明も発表している。
以前引用したようにマイケル・ムーアの言葉を借りると「米国企業は株主のために働く」のが通念となっている。このような状況を苦々しく思っているのか 「われわれは長い間非公開企業として努力し、このやり方で成功してきた。われわれは、公開企業としても同じように運営していく。われわれの意見では、企業が外部からの圧力に屈して、四半期ごとの市場の期待に応えようとするあまり、長期的な機会を犠牲にすることがとても多い。こうした圧力に負けて業績を操作する企業さえある。Warren Buffettは『われわれは、四半期あるいは通期の業績をつくろったりはしない。売上が思わしくない場合にも、投資家にはそのまま報告する』と述べている」といいのけた。
ある意味、立派。上場すればお金が入り、事業を広げることもできるが、競合他社に株を買い占められたり (Microsoft だったらしようでしょ? PeopleSoft を Oracle が食べようとしているのはこの手)、株価が操作されて暴落すれば企業生命にもかかわるのは明白ですもの。
さて、ちょっと気にして成り行きを見ていきましょう。